第1章では、ピラミッドの体積を求めるのに「小石の数理」を用いました。(詳しく知りたい方は〔1-3 小石の数理〕をご一読ください。)しかし、アルキメデスは小石の数理(整数論)は使わずに、すべて「比の理論」を使って議論しています。現在では、面積は「小さな正方形がいくつでおおえるか」で議論できます。しかしこれは“後智慧”で、当時は数の “1” はこれ以上小さく分けることはできなかったのです。〔2-3 πの源流〕で見たように、円周とか円の面積は、円を 1/6, 1/12, … と小さく割っていくことで計算しています。量は数と違って、割ることができるのです。ここでは面積に関してもう少し詳しく見てみましょう。
等積変換
三角形は、同じ面積の長方形に変換できます。面積を変えずに変換することを等積変換といいます。たとえば次は等積変換です。
\(底辺が a 高さがh の三角形\)
\(= \frac{1}{2}□(a. h) = □(a. \frac{h}{2} )\)

この式の意味は「底辺が a で高さが h の三角形の面積は、底辺が a で高さが h/2 の長方形の面積に等しい」という意味であって、「三角形の面積=底辺×高さ/2」という現代の公式とは意味が異なります( 図2.6.1)。 古代の比とは、2倍、3倍、1/2、1/3 の拡張概念であって、現在の分数のような「演算システム」ではありませんでした。
三角形の相似
「三角形の相似」の条件
おそらく読者の皆さんは、三角形の相似のことはよく知っていると思います。次の定理の3つの条件の1つが成り立てば、2つの三角形は相似です。証明は省略します。
三角形相似
2つの三角形において次の3つの条件は同値である。
(1) 対応する3つの角が等しい。
(2) 対応する1つの角と、それを挟む2つの辺の比が等しい。
(3) 対応する一つの辺の比と、その両端の角が等しい。
2つの三角形において次の3つの条件は同値である。
(1) 対応する3つの角が等しい。
(2) 対応する1つの角と、それを挟む2つの辺の比が等しい。
(3) 対応する一つの辺の比と、その両端の角が等しい。

三角形の底辺平行
比の理論で最も重要な働きをするのは次の定理です。これも証明は省略します。
三角形底辺平行
図2.6.3 において次が成立する
DE と BC は平行 ⇔ AD : AB = AE : AC
図2.6.3 において次が成立する
DE と BC は平行 ⇔ AD : AB = AE : AC

この先で扱う内容
- L字型の図形「グノモン」
- グノモンの定理とは
- 「グノモンの定理」の証明
- 内項外項の定理の証明
- 長方形の和
- まとめ
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