現在の日本の社会は、正確な時間どおりのスケジュールで動いています。学校や会社やお店の始まる時間や終わる時間はしっかり決まっていますし、日本の交通機関ほど時間に正確なところは世界でも珍しいようです。しかしほんの200年前、江戸時代には時計などなく、お寺の鐘でのんびりと暮らしていたようです。夏は日が短く冬は長かったので、夏と冬では時間の進み方が違いました。これを季節時間といい、現在のように季節にかかわらず一定の間隔で刻まれる時間を「定時制」といいます。少し古い歴史では、古代はみな季節時間で、メソポタミアやエジプトも季節時間だと考えられていました。しかし、一般の人たちは時間で生活していましたが、天文学者は定時制を認識していたようです。今回は「古代の時間」について詳しく見てみましょう。
古代バビロニアの時間
時計としての星座
〔2.星座は暦で時計だった〕で、古代メソポタミアでは、星座が暦であったと述べました。ここでは星座が時計でもあったことを述べます。説明のために星座の名前を付け換えます。おひつじ座を1月座、おうし座を2月座、… と反時計回りに12月座まで名前を付けます。皆さんは今バビロニア時代にいると思ってください。したがって春分の日が年始の1月です。太陽が1月座にいるときが1月で、2月座にいるときが2月です。このようにすれば今が何月かすぐに分かります。星座は太陽と共に行動しますからその月にはその月の星座は見ることはできませんが、たとえば太陽が1月座と共に西の地平線に沈むと、東の空から7月座が現れるので現在が1月だと分かります。1月では、7月座の位置で夜の時間を知ることができます。たとえば7月座が真南に来たときは夜の0時です。星々は東から西に1時間で30度移動しますから、これで夜の時間が測れます。
月の観察 – 現在は何月か?
さらに月を観察すれば、月の満ち欠けの形より太陽の位置が分かります。たとえば満月の時は、太陽は地球をはさんで真後ろにあり、朔月の時、月は太陽と同じ位置にあり、その他の場合も同様に太陽の位置が分かります。たとえば満月が2月座にあれば、太陽は8月座にあり、現在8月です。このようにして天体の知識が増えると、もはや日没のときに東の空に現れる星座を観測しなくても、暦と月の形と月が現在どの星座にいるかが分かれば、現在が何月であるか分かるのです。
立てた棒の影の長さとか、日の出の位置で1年の長さを正確に計測するのはなかなか困難です。しかし、月がどの星座にあるかは、ゆっくりと時間をかけて計測することができます。このように、知識が増えれば計測方法も増え、計測結果もさらに正確なものになります。
バビロニアの1日
いま述べたように、1年や1ヵ月の時間が、太陽や月の運行で正確に刻まれるなら、1日の時間の経過も同様だと気がつきます。実際、バビロニアの時間の単位はベールーとゲシュで、
\(1日 = 12ベールー、\)
\(1ベールー = 30ゲシュ\)
と定められていました。したがって、
\(1日= 12×30ゲシュ = 360ゲシュ\)
となります。私たちの単位では 1日=24時間 = 1440分 ですから、1ベール=2時間、1ゲシュ=4分 となります。星々は1日に天球を1回転、つまり 360度回転します。したがって、1度動くのに 1ゲシュ(=4分)となります。星々は私たちが持っている時計と同じ機能を持っていたのです。円も時間と同様、12ベールー = 360ゲシュに分けられていました。この単位はシュメールの時代から使われていました。私たちが使っている円一周 360度という角度の単位もシュメールから伝わったものなのです。
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