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ユークリッド(エウクレイデス)

  • 時代 前325頃 - 前270頃(諸説あり)
  • 出身地 ギリシア
  • 肩書き 数学者
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ユークリッド(エウクレイデス) とは?

ユークリッドは古代ギリシャの数学者です。現在の数学の礎となった『ユークリッドの原論』を執筆。『ユークリッドの原論』はその後の数学の発展に大きな影響を与えた重要な著作とされています。

時代背景 ユークリッド(エウクレイデス) が活躍した時代はどんな時代?

ヘレニズム時代 -文化の中心はアレクサンドリアへ-

ギリシアの古典期も終わりごろになると、いたるところで都市と都市が争っていました。この時代を歴史家は内戦時代と呼んでいます。やがてギリシア本土の北部にあった小王国マケドニアがギリシアの都市連合を破り、時代はヘレニズム時代へと移ります。文化の中心は、ギリシア本土のアテナイから、エジプトのプトレマイオス王朝の首都アレクサンドリアに移ります。エジプトはギリシア人(正確にはマケドニア人)のファラオが治める国となります。アレクサンドリアには当然ギリシア人や現地のエジプト人が多く住んでいましたが、地中海の島々や西アジアの人々はもちろんのこと、遠くインドや黒海北岸からも人々が集まり、圧倒的なコスモポリス(世界都市)となります。アレクサンドリアにムセイオンと呼ばれる王立科学研究所とその付属の大図書館が設立します。文芸・芸術はこの時代にはいって衰退したように言われることが多いのですが、科学(特に天文学や数学)はこの時代に入って大きく進展したようです。天文学、自然科学、数学の研究には国家が支援する研究所(大学)のような施設が必要です。大科学者のアルキメデスや『原論』を書いたユークリッド※はこの時代の人です。

数学史上もっとも多くの人に読まれた『原論』の著者

ユークリッドはギリシア数学の代表ともいえる「原論」の著者として知られています。数学の教本としてまとめられた「原論」は歴史を通して多くの人々に読み継がれてきました「原論以上に世界中の人に読まれた本は聖書くらいのものだ」と言われるほどです。実際、ヨーロッパの中世から近世にいたるまで、数学者はほとんどの人が原論を読んでいましたし、大学での教科書も原論でした。

現代数学の礎となったユークリッドの原論とはどのようなものなのでしょうか。

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現代数学の礎となったユークリッドの原論。 古代ギリシアの作図や証明を動画で分かりやすく解説しています。

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ユークリッドの『互除法』

ユークリッドの原論では、自然数の理論「数論」が扱われています。この数論では、素数や、最小公倍数を求めるユークリッドの互除法など多くの定理が述べられていて、現在の数論の基礎となっています。

自然数(または整式)の最大公約数を求める方法の一つ。2つの自然数a,b ( a ≧ b )について、aをbで割った余りをrとすると、aとbの最大公約数は、bとrの最大公約数に等しい。このことを利用して割り算を繰り返し、2つの自然数の最大公約数を求める方法をユークリッドの互除法といいます。操作を繰り返して最後に割り切れた時の「割る数」が求める最大公約数となります。
1. aを bで割り,余り rを求める
2. bをrで割り、余りr1を求める
3. rをr1で割り、余りr2を求める …
これを繰り返す…
4. 余りが0になったときの割る数がaとbの最大公約数となる

ユークリッドの『完全数の定理』

完全数とはピタゴラス学派が大切にした数です。完全数とは、自分自身を除く約数の和となる数のことです。 たとえば6の約数は 1, 2, 3, 6 で、6以外の和は 1+2+3=6 となるから、6は完全数です。28 も 1+2+4+7+14 = 28 となりますから完全数です。現在でも分かっている完全数は非常に少なく、10進数で9桁以内の完全数は次の4つしかありません。 ピタゴラスが知っていた完全数は 6 と 28 だけだったかもしれません。正確な時期はわかりませんが、ヘレニズム時代には6 と 28 のほかに、496 と 8128 という2つの完全数が見つかっています。5番目の完全数は、1456年になってやっと見つかりましたが、これは33,550,336 という途方もなく大きな数でした。 6 とか 28 はともかく 496 とか 8128 のような数が完全数であることを、コンピュータもない昔に、どのようにして見つけたのでしょうか。当てずっぽうにしては数が大きすぎます。

ユークリッド(エウクレイデス) の名言

数学は役に立つものであるよりは美しいものでなければならない

古代ギリシアの有名な哲学者たち(たとえばアリストテレス)は、数学の目的は何か実用に役立つためのものではなく、「それ自身の美しさのため」に追及するものだと主張しています。

あの学生はお金をほしがっているようだからお金を渡しておきなさい

ユークリッドにも次のようなエピソードが残されています。あるとき一人の学生がユークリッドに「その命題は何の役に立つのですか」と質問しました。ユークリッドはこの質問には答えず、後で使用人に「あの学生はお金をほしがっているようだからお金を渡しておきなさい」と告げたそうです。

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