ホルスの目 とは
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ホルスの目とは
ホルスの目は、古代エジプトの壁画などによく描かれている呪力を持ったおまじないの絵です。守護・治癒・再生の象徴とされ、魔除けや護符として広く使われてきました。エジプト数学では分数を表ています。
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ホルスの目の神話的背景
古代エジプトの神、ホルスとは
ホルスは古代エジプトの天空の神で、ハヤブサの姿で表されます。オシリス神話ではオシリスとイシスの子です。父オシリスがその弟セトにより殺害されたため、のちにその仇を討ち、上下エジプトの王となりました。
オシリス神話
ホルスの父オシリスは王位を引き継ぎ、人びとから崇拝される賢明な王となります。敵である弟のセトはこれをねたみ、王位を奪い取ろうと企みます。セトはオシリスを殺害し、息子のホルスとの激しい戦いが繰り広げられます。この戦いの中、ホルスはセトに目を引き裂かれてしまうのでした。
ホルスはズタズタにされた左目をトト神(知恵と月の神)に直してもらいます。こうした経緯から、ホルスの目は失われたものが再生される癒しの象徴として扱われました。
ホルスの目には右目と左目の両方があり、右目が太陽、左目が月の象徴とされています。
また、ホルスの左目は「ウジャトの目」と呼ばれることもあります。戦いで傷つき、再び癒されたことから守護や癒しの象徴でもあります。この象徴は、エジプトの王や民衆にとっては悪から身を守る「守護の目」としても用いられ、魔除けや護符としても広く使われました。
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ホルスの目とエジプト分数
1より小さい数を表す言葉
古代エジプトの数学において、ホルスの目は特異な意味を持ちました。特に分数の概念と結びついています。
どんな言語にも、1より小さい数を表す「半分( half )」とか「四半分( quarter )」という単語があります。古代エジプトでは、これに加えさらに 八分、十六分、三十二分、六十四分までありました。今ではあまり使われませんが、日本語にも「八分」や「十六分」という表現があり、「八分の一」「十六分の一」という意味で使われます。日本語では「八分」のように「数詞+分」の形で表しますが、古代エジプトではこれらは単一の概念で、それぞれが一つの記号で表されていました。
分数としてのホルスの目
ホルスの目は、複数の部分に分割され、それぞれが特定の分数を表していました。これらの部分は、1/2、1/4、1/8、1/16、1/32、1/64といった数値に対応しています。エジプト人はこれを「64分の63」と考え、完全ではない状態を象徴的に表しました。この「不完全な目」はホルスがセトとの戦いで目を傷つけられたことを示しました。また、トートが完全に回復させた象徴ともされ、再生と癒しの意味も含まれていました。
古代エジプト人は1より小さい数としてホルスの目、つまり2進分数を考え出しました。古代エジプトの人々は「数」をどのように扱っていたのでしょうか。以下の記事で詳しく解説しています▼
Web連載 ピラミッドに隠された謎 3-1.古代エジプトの数の扱いと単位
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