PROFILE:No. 15 人と建築の調和を求めたローマの賢者

ウィトルウィウス

  • 時代 前1世紀頃
  • 出身地 ローマ
  • 肩書き 建築家
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ウィトルウィウス とは?

ウィトルウィウスは、紀元前1世紀の古代ローマで活躍した建築家・技術者・著述家です。彼の名は、レオナルド・ダ・ヴィンチが描いた有名な「ウィトルウィウス的人体図」によって広く知られるようになりましたが、人物としての詳細は不明な点が多く、伝記的記録はほとんど残っていません。

時代背景 ウィトルウィウス が活躍した時代はどんな時代?

ウィトルウィウスが活動したのは、ユリウス・カエサルや初代皇帝アウグストゥスがローマを統治していた紀元前1世紀の時代です。この頃のローマは帝政へと移行しつつあり、数々の公共建築が進められていました。ウィトルウィウスもそのような建築事業に関わり、技術者として重要な役割を果たしたと考えられています。

古代ローマの建築家とその代表作『建築について(建築十書)』

ウィトルウィウスは紀元前1世紀頃、古代ローマで活躍した建築家です。彼が生きた時代、プトレマイオス朝エジプトは終焉を迎え、エジプトを含む地中海東部の広い地域がローマの支配下に入りました。ローマ帝国では大規模なインフラ整備が進み、大浴場、柱廊付きの建物、庭園、水道橋などの壮大な建築物が数多く建設されました。こうした建設プロジェクトにおいて、ウィトルウィウスは重要な役割を担っていたと考えられています。

彼の著書『建築について』は全10巻からなる体系的な建築論で、現存する最古の建築書とされています。この書では、建築理論だけでなく、構造技術、美術、都市計画、さらには音響工学にまで言及されており、古代ローマの高度な技術水準と設計思想を今に伝える貴重な文献です。その内容はルネサンス期の建築家たちにも強い影響を与えています。

ウィトルウィウスは、ギリシアの理論的な数学をある程度理解していたと考えられますが、実際の設計や建築にはオリエント由来の実用的な数学を好んで用いていたようです。彼は著書の中で、正方形を並べた図形や、3-4-5の直角三角形などに基づく作図法についても紹介しており、こうした幾何的知識が建築設計に応用されていたことを示しています。

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4-6.古代ローマとルネサンス:ウィトルウィウスと実用数学

ウィトルウィウス的人体図とは

古代ローマの建築家ウィトルウィウスは、その著書『建築について(建築十書)』の中で、「人間の体は幾何学的な比率に従っており、正方形や円といった形にぴたりと収まる」と述べています。彼は人体の各部位の長さが建築における理想的な比例と調和していることに注目し、人体と建築の美の関係を説きました。

この考えに基づき、ルネサンス期の芸術家レオナルド・ダ・ヴィンチが描いたのが、有名な「ウィトルウィウス的人体図」です。ダ・ヴィンチは数学を独学で学び、人体の比率を厳密に観察しながらこの図を完成させました。

この図には「黄金比」が隠されているとも言われており、古代の美の基準がルネサンス期の芸術や思想にどのように引き継がれていったのかを考える手がかりとなっています。本当に黄金比が含まれているのか?それは、今なお研究と議論が続く興味深いテーマです。

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5-4.ウィトルウィウス的人体図と黄金比

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