グレゴリオ暦 とは
グレゴリオ暦とは
私たちが毎日使っているカレンダー――1月から12月、うるう年には2月29日が現れ、月の日数はバラバラ。 当たり前のように思えるこのカレンダーですが、よく見るとなぜこんなに不規則なのかと不思議に感じることはありませんか?
たとえば、どうして1ヵ月の日数は30日だったり31日だったり、さらには28日しかない月まであるのでしょう? なぜ閏日が年末ではなく2月に挿入されるのでしょうか?
その答えは、私たちが使っているグレゴリオ暦の起源と、それに先立つユリウス暦や古代エジプト暦の改暦の歴史の中にあります。
この記事では、紀元前のエジプトから16世紀のヨーロッパに至るまで、暦の仕組みがどのように変わってきたかをたどりながら、今のカレンダーが生まれた背景に迫ります。
グレゴリオ暦とは──今私たちが使っているカレンダーの由来
グレゴリオ暦とは、1582年にローマ教皇グレゴリウス13世によって導入された新しい暦のことです。
これは、それまで使われていたユリウス暦を改良したもので、現在世界中で使われているカレンダーの元になっています。
なぜユリウス暦は修正されたのか?
ユリウス暦は、古代ローマのユリウス・カエサルによって導入された暦で、1年を365日とし、4年に1度の閏年を設ける仕組みでした。
これは数学的に表すと、1年を365.25日とする計算になります。
ところが、地球が太陽のまわりを一周する本当の周期(太陽年)は約365.2422日であり、わずかにユリウス暦の計算より短いのです。
この微小なズレが積み重なり、16世紀には春分の日が暦上の「3月21日」よりも10日ほど前倒しになってしまっていました。
このズレは、イースターなどのキリスト教の重要な祭日を決定する基準にも影響を与えるため、正確な暦の見直しが必要とされていました。
グレゴリオ暦の導入と調整内容
そこで、グレゴリウス13世はユリウス暦を改良したグレゴリオ暦を制定しました。
まず、ズレた日数を修正するために、1582年10月4日の次の日を「10月15日」とするという大幅な調整が行われました。これにより、進みすぎた10日分がカレンダー上から削除され、季節とのずれが解消されました。
さらに、閏年の規則もより正確なものに変更されました:
新しい閏年のルール(グレゴリオ暦):
- 4の倍数の年は閏年とする。
- ただし、100の倍数の年は閏年としない。
- しかし、400の倍数の年は再び閏年とする。
後の条件の方を優先して適用します。
たとえば:
- 2000年は4の倍数、100の倍数、かつ400の倍数 → 閏年
- 2100年は4の倍数、100の倍数、しかし400の倍数ではない → 平年
この調整によって、太陽の動きと暦とのズレが大幅に軽減され、現在でも安定して使われ続けています。

グレゴリオ暦改定の歴史──なぜ今の暦はこんなに複雑なのか?
現在私たちが使っているグレゴリオ暦は、1582年に導入された暦法ですが、そのもととなったのはユリウス暦です。そしてさらにさかのぼると、ユリウス暦の基本的な構造は、古代エジプトの暦に由来しています。
古代エジプトの暦はとてもシンプルで美しく、1ヵ月をすべて30日で統一し、年末に5日間の「付加日」を加えるというものでした。
この方式は季節とずれにくく、農耕や宗教行事の管理にも適していました。
しかし、現在の暦を見てみるとどうでしょう?
- 月の日数は28日、30日、31日とバラバラ
- しかも閏日(2月29日)が挿入されるのは、年末ではなく2月という中途半端なタイミングです。
いったいなぜ、こんなにも不規則な暦になってしまったのでしょうか?
この背後には、政治・宗教・歴史的な経緯が複雑に絡んでいます。
▼次の記事では、暦の月日が今のような形になった理由を、ローマ時代の改暦とともに探っていきます。
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グレゴリオ暦が設定された16世紀は、暗い暗黒の中世を抜け出し、ヨーロッパが大きく発展しようとしているときでした。グレゴリオ暦はどのような状況下で制定されたのでしょうか▼
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日本への導入
グレゴリオ暦が日本に導入されたのは明治になってからです。明治5年11月9日、明治政府は改暦の詔書を発表しました。
「来たる12月3日をもって明治6年(1873年)1月1日とする」
旧暦の明治5年12月3日が新暦の明治6年1月1日となったのです。日本では大きな混乱もなく新しい暦が受け入れられました。しかし、グレゴリオ暦は1582年に制定されてから世界中に広まるまでに非常に長い年月がかかっているのです。歴史を遡ってみましょう▼
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まとめ
現代のグレゴリオ暦は、古代エジプト暦の構造を引き継いだユリウス暦を土台に、天文学的な精密さを求めて16世紀に改訂された暦です。ユリウス暦ではわずかなずれが積み重なって季節との誤差が生じたため、教皇グレゴリウス13世が修正に乗り出しました。
その結果として導入されたグレゴリオ暦は、閏年の規則を厳密に見直すことで、太陽の動きと暦の一致を図ることに成功しました。
現在のカレンダーは、一見すると不規則に見える部分(2月の短さや閏日の扱いなど)もありますが、その背後には科学と宗教が関わった改暦の歴史が隠されています。ふだん使っている日付の中に、実は数千年にわたる工夫と調整の跡が息づいているのです。