円周率
用語
Pi(π)

円周率

円周の長さを直径で割った値。どんな大きさの円でも同じ値になり、π(パイ)=3.14159265358979…と、小数が規則的に繰り返すことなくどこまでも続く無理数。
ひとことで言うと

円の面積や体積の計算など、円に関わるあらゆる場面に登場する数学定数。

円周率とは

この用語の要点
  • 円周を直径で割った値。どんな大きさの円でも同じになる
    • 値は π = 3.14159265358979… と無限に続き、分数では表せない
    • アルキメデスは正96角形まで計算して、πの入る範囲を挟み込んだ

円周率とは、円周を直径で割った値のことです。円周の長さが直径の何倍かを表し、どんな大きさの円でも変わらず、常に同じ比率になります。

この値はギリシア文字のπ(パイ)で表され、

π ≒ 3.14159265358979…

と無限に続く小数です。πはどんな整数a、bを使ってもa/bという分数の形で正確に表すことができない「無理数無理数分子・分母がともに整数の分数a/bの形で表せない実数。円周率π、√2、自然対数の底eなどが代表例で、小数にすると無限に非循環に続く。詳しく見る →」であり、単なる「3.14」ではなく、その先が無限に非循環に続く特別な数です。

円周率は数学や科学、工学のあらゆる分野で使われており、もっとも有名な定数の一つです。

小数点以下100桁までの値

3.1415926535 8979323846 2643383279 5028841971 6939937510 5820974944 5923078164 0628620899 8628034825 3421170679…

読みやすいように、小数点以下を10桁ずつ区切っています。ふだんの計算では3.14や、分数の22/7(=3.142857…)で近似することもよくあります。

円周の長さと円の面積

円周率を使うと、円の大きさを半径 r から計算できます。

円周の長さ = 直径 × π = 2πr
円の面積 = πr²

πという記号は、1706年にイギリスのウィリアム・ジョーンズが使ったのが早い例で、18世紀にオイラーオイラー現代数学の設計者詳しく見る →が使ったことで広まりました。

アルキメデスが考えた円周率

円の直径と円周の比率は古代バビロニアの時代から使われていましたが、これを数学的な方法で厳密に求めようとした最初の一人が、古代ギリシアの数学者アルキメデスアルキメデス22/7 の秘密!発見と創造の数学者・物理学者詳しく見る →です。

アルキメデスは、円に内接する正多角形と外接する正多角形を用いて円周率を近似する方法を考案しました。正6角形から始め、正12角形、正24角形、正48角形、正96角形…と辺の数を倍増させていくと、正多角形の周長は円周の長さにどんどん近づいていきます。

外接多角形の周長は常に円周を上回り、内接多角形の周長は常に円周を下回るため、この2つの値の間に真の円周率があることが示されます。正96角形まで計算することで、アルキメデスは次の範囲を示しました(※『アルキメデスの求積』参照)アルキメデスの求積円に内接・外接する正多角形の周で円周を挟み込み、円周率の値を評価する方法。正96角形まで計算を進め、3+10/71<π<3+1/7 を示した。。

3 + 10/71 < π < 3 + 1/7

小数にすると 3.1408… < π < 3.1428… です。上と下の両方から挟んだところが、この仕事の要でした。三角関数の表もない時代に、これをすべて手計算で行っています。紀元前3世紀の成果としては驚異的なものでした。

なお、ここで使う「π」や分数の表記は、現代の数学の言葉に置き換えたものです。アルキメデスの時代には小数もπという記号もなく、実際に扱っていたのは整数どうしの比でした。

辺の数を増やすと多角形の周長がどう変わるか、動かして確かめてみましょう。

さらに深掘り

円周率は、どうやって知られていったのか

円周率については、昔からいろいろなことが語られてきました。中でもよく知られているのが、ピラミッドに円周率が隠されているという話です。

クフ王の大ピラミッドは、底面の周の長さを高さの2倍で割ると 3.1428… になります。π=3.14159… とほとんど一致する。ここから、古代エジプト人はすでにπを知っていたのではないか、という説が生まれました。

ポゥじい博士の見立て

そう考えたくなる気持ちもわかるんじゃよ。あまりにも偶然の一致が多いからな。じゃが、別の角度から見ると、そうも言い切れん理由がいくつも出てくる。

当時の長さの単位は、1腕尺(キュビト)=7手のひら、じゃった。直径7の円を描いて、その周を実際に測れば、だいたい22になる。紙も鉛筆も正確な物差しも無い時代じゃ。エジプト人は円周を直径の22/7倍として、実測で扱っておったと考えるのが自然じゃろうな。「隠されていた」のではなく、当時の単位と素朴な実測が生んだ、必然の一致。わしはそう見ておるんじゃよ。

ちなみにこの1腕尺=7手のひらという単位、ふだん使う「民衆の尺度」とは別の、ピラミッド専用の「王家の尺度」じゃった。なぜわざわざこちらに切り替えたのか……ここでは語り尽くせないほど、壮大な物語があるんじゃよ。「王家の尺度はなぜ生まれたのか」「勾配(セケド)との一致」まで踏み込んだ話は、連載ピラミッドの謎『円周率の謎』をぜひ読んでほしい。

アルキメデスは「本当の値」を探していたのか

ここまでは、測ってみたらこうなった、という話でした。では、正多角形で円を挟みこんで円周率に迫ったアルキメデスアルキメデス22/7 の秘密!発見と創造の数学者・物理学者詳しく見る →は、どうだったのでしょうか。

ポゥじい博士の見立て

先に断っておくが、ここまで「π」や「3+10/71」というふうに書いてきたのは、現代の記号に置き換えた説明じゃ。アルキメデスの時代には小数もπという記号もない。彼が実際に扱っていたのは分数ではなく、整数どうしの比じゃった。これから話すことも、当時そのままの考え方ではなく、現代の数学の言葉に置き換えて述べておるので、そのつもりで聞いてくれ。

現代の目で見れば、アルキメデスは極限の考え方に迫っておった、と評価される。それも無理はない。じゃが、彼が「円周率の本当の値は何か」とまで考えておったかというと、少し違う気がするのじゃ。

わしらは、πという厳密な値がまずあって、そこへどれだけ近づけるかを考える。じゃがアルキメデスにとっては、上と下からどこまで範囲を絞り込めるか、それ自体が目当てだったのじゃろう。その先に「究極の正確な値」があるという発想自体、無かったのかもしれん。机の幅を測るとき、理論的に完璧な長さなど気にせず、用が足りる精度で満足するのと同じことじゃ。

人間は、必要でないことは考えんものじゃよ。

この見方は『古代ギリシアの数2 無理数は本当に発見されていたのか?』でくわしく扱っています。

本ではこう語られています
実数とは何か? 有限と無限をつなぐ数の世界この本を見る
ポゥじい
πというのは、たしかに不思議な数じゃ。「π= 3.141592 …」と、どこまでもどこまでも続いておるが、決してデタラメではない。円の直径と円周の比──つまり、形の中から生まれる数なのじゃ。
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π=3.14159…のように終わらない数を、どうやって「数」として扱うのか。有限と無限のつながりを対話でたどる一冊です。

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