正多面体はなぜ5種類しかないのか
正多面体は、面の数を増やしていけばいくらでも作れそうな気がします。ですが実際に正多面体と呼べる立体は、世の中に5種類しか存在しません。
理由は、1つの頂点に集まる面の角度を数えていくとわかります。正多面体の頂点には必ず3つ以上の面が集まりますが、そこに集まる角度の合計は360°未満でなければなりません。ちょうど360°になると平らになってしまい、立体を折り曲げる余地がなくなるからです。
正三角形(1つの角は60°)なら、頂点に3つ集めると正四面体、4つ集めると正八面体、5つ集めると正二十面体ができます。6つ集めると60°×6=360°でぴったり平らになり、それ以上は立体になりません。
正方形(1つの角は90°)は3つ集めると正六面体(立方体)ができますが、4つでは90°×4=360°でこれも平らに。正五角形(1つの角は108°)も3つ集めると正十二面体ができますが、4つでは108°×4=432°で360°を超えてしまい、そもそも組み上がりません。
正六角形(1つの角は120°)は、3つ集めた時点で120°×3=360°。角の数がこれより多い正多角形も同じ理由で頂点に組み合わせられません。
こうして条件を満たす組み合わせは、正三角形3個・4個・5個、正方形3個、正五角形3個の5通りだけに絞られ、それぞれ正四面体・正八面体・正二十面体・正六面体・正十二面体という、ちょうど5種類の正多面体に対応します。
プラトンが元素に割り当てた4つの立体
古代ギリシア人は、宇宙を構成する元素が火・空気・水・土の4つであると考えていました。プラトンプラトン古代ギリシアの哲学者詳しく見る →は著書(※『ティマイオス』参照)ティマイオスプラトンの対話篇。宇宙を構成する火・空気・水・土の4元素を、5つある正多面体(プラトンの立体)のうち4つに割り当てたことで知られる。の中で、この4つの元素に5つの正多面体のうち4つを割り当てました。
正四面体は角張っているので火。正六面体は平面に敷き詰められるので土。正二十面体は球に近く丸まっているので水。そして火と水の中間に、正八面体の空気が入ります。
残る正十二面体は、万物を包み込む宇宙のうつわと見なされました。面の数12は、1年の月の数にあたります。この正十二面体が「エーテル」、つまり宇宙に充満する第5の元素と結びつけて語られるようになるのは、のちの時代のことです。
ポゥじい博士の見立て正多面体が5種類しかないというのは、角度の制約から導かれる数学の結論じゃ。誰がどう思おうと、この数は変わらん。
じゃが古代の人々は、その5つに宇宙の作りを重ねてみせた。数の上での事実と、そこに見た意味と。この二つが並んで残っておるところが、わしにはおもしろいのじゃよ。
ポゥじい博士の見立てところで、この定理に名前を残しておるオイラーが何をした人か、ひとことだけ言うておこう。
オイラーは、「関数」のような記法を次々に導入して、数学を図形から記号の計算へ移した人じゃ。ニュートンやガリレオの数学は幾何じゃったが、いまわしらが教科書で見る形にしたのは、この男でな。本人はこう言うておる。「ニュートンやガリレオの数学を学ぶには、非常な努力と天才が要る。じゃがわしの記号を使えば、練習さえすれば誰でも習得できる」とな。
親切な話じゃろう。じゃが裏を返せば、「公式ばかりで数学は嫌いだ」という人を増やした張本人でもあるのじゃよ。
この5つの立体の話は、Mathematicaの書籍でも一章を立てて扱っています。プラトンが元素を割り当てたくだりを、ポゥじいはこう語っています。
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ポゥじい火は正4面体、空気は正8面体、土は正6面体、水は正20面体、そしてエーテル(宇宙に充満する神秘的な元素)、あるいは宇宙空間には正12面体をあてがった。あくまで哲学的な象徴じゃが、形と意味とを結びつける想像力こそが、当時のギリシア思想の粋ともいえるのじゃよ。



