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60進法(60進数) とは

この記事でわかること


私たちが日常で使っている「60分=1時間」「1分=60秒」などの単位は、実は古代メソポタミアの数学にルーツを持つ「60進法」という数の表し方に基づいています。

この記事では、

  • 60進法と10進法の違い
  • バビロニア文明における60進法の起源
  • 数の表現方法(記数法)の歴史
  • について、初心者にもわかりやすく解説します。「なぜ時間や角度は60で区切られているのか?」という疑問をお持ちの方に、ぜひ知ってほしい数の仕組みと歴史の物語です。

60進法とは - 10進数と60進数の違い

10進数との違いや日常での使われ方

60進法(60進数)とは、「60個でひとまとまり」として数を表現する方法です。現在私たちが日常で使っている10進法では、「10個で次の位に上がる」のが特徴ですが、60進法では60個集まると1つ上の位に繰り上がる仕組みになっています。

10進法と60進法の違い

  • 10進法:  1が10個 → 十、十が10個 → 百
  • 60進法:  1が60個 → 次の位へ繰り上がり

この違いは、数そのものが違うのではなく、「数の表し方」が違うという点にあります。たとえば英語で “one, two, three”、日本語で「一、二、三」と言っても同じ数を指しているのと同じように、進法は数の「表現方法」にすぎません。

60進法が使われている例

現在、私たちは普段の生活では主に10進法を使っていますが、他の進法も特定の分野で使われています。

  • 2進法:コンピュータやデジタル機器の内部処理で使用
  • 60進法:
    • 時計の時刻表示(60秒=1分、60分=1時間)  
    • 角度の表現(1度=60分、1分=60秒)

このように、60進法は今でも私たちの身近な場面で活躍している表記法なのです。

60進数

時間と60進法の関係

時間はどうやって数えられている?

1日は 24時間に分かれていますが、1時間は 60分、1分は 60秒 に分かれています。この「60」という区切り方こそが、60進法(60進数)の考え方なのです。つまり、時間は「60をひとまとまり」として数える進法を採用しているわけです。

10進数との違い:59分の次は?

たとえば、時計が 59分 を指しているとき、1分後はどうなるでしょうか?

  • 10進法で考えれば「59 + 1 = 60」ですが、
  • 時間では「60分」ではなく 「0分」に戻って1時間が追加されます。つまり、60を超えると桁が上がり、新しい単位(時間)になります。

このように、60を超えると桁が上がり、次の単位に繰り上がるという仕組みは、まさに60進法の特徴です。

60進法はどこで生まれた?

古代メソポタミアとバビロニアの知恵

私たちが現在も時計や角度の表記に使っている60進法(60進数)は、古代文明のひとつ、バビロニアで生まれたといわれています。

メソポタミアとは?

「メソポタミア」という言葉は、ギリシャ語で「2つの川の間の土地」という意味を持ちます。この2つの川とは、チグリス川とユーフラテス川。現在のイラク周辺にあたるこの地域は、古代から農業が栄え、人類最古の文明のひとつが花開いた場所です。

メソポタミア地図

バビロニア人が生んだ画期的な記数法

メソポタミア南部に位置したバビロニアでは、なんと紀元前2000年ごろにはすでに、60を基数とする進法(60進法)が使われていました。

バビロニア人は「位取り方式」と呼ばれる記数法を用いていました。この仕組みは、数を効率よく表現できる特徴があり、のちの数学にも影響を与えたと考えられています。

また、バビロニアでは高度な数学や天文学がすでに発展していたことも知られています。

メソポタミアの遺跡から出土した粘土板には、60進数で書かれた楔形文字の記録が残されています。実はこのバビロニアの数の仕組みは、現代の私たちの生活の中にも確かに息づいています。たとえば、時計の「分」や「秒」、角度の60分・60秒という単位表現は、まさにこの古代バビロニアの60進法の名残なのです。

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1. たばね法

さまざまな数の表現方法 ― 記数法とは?

「数を文字でどう表すか」という方法を、記数法といいます。私たちは現在、0〜9のアラビア数字を使った10進法で数を表していますが、この便利な記数法にたどりつくまでには、人類は非常に長い年月をかけて工夫と改良を重ねてきました。

現代で当たり前となったこの10進法が、ヨーロッパで広く使われるようになったのは15世紀のことです。これは、バビロニアで60進法が発明されてから、およそ4000年も後の出来事です。

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4. バビロニアの60進法

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