ピタゴラスの定理 とは
ピタゴラスの定理(三平方の定理)とは?
ピタゴラスの定理は三平方の定理とも呼ばれ、直角三角形の性質を表す定理として広く知られています。この定理の内容はとてもシンプルで、直角三角形の「直角をはさんだ2つの辺」の長さの2乗の和は、「斜辺」の長さの2乗に等しいというものです。このことを数式で表すと、次のようになります。
a2 + b2 = c2
ここで、
・a と b は直角をはさんだ2つの辺(直角をつくる辺)で
・c は斜辺(直角の向かいにある一番長い辺)です。
逆に三角形の3辺の長さa, b, cの間にa2 + b2 = c2 が成り立てば、その三角形は長さcの辺を斜辺とする直角三角形になります。
ピタゴラスの定理は、三角形の2辺の長さが分かっているときに、残りの1辺の長さを求めるのに使います。例を見てみましょう。
【例題】
直角三角形の一辺の長さが3cm、もう一辺の長さが4cmのとき、斜辺の長さはいくつでしょうか?
【解き方】
斜辺の長さをxとし、ピタゴラスの定理に当てはめます。
32 + 42 = x2
x2 = 9 + 16
x2 = 25
x = 5
斜辺の長さは5cmです。このようにピタゴラスの定理を使うと、簡単に長さが求められます。
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ピタゴラスの定理の証明
ピタゴラスの定理には100種類以上の証明方法があるといわれています。ここではその一つを紹介しましょう。
下の図を見てください。1辺が c の正方形(水色)のまわりに、底辺が b 高さが a の直角三角形(青色)を4つ描きます。すると外側に辺が a + b の正方形ができます。
この図で外側の大きい正方形は、1辺が c の正方形と底辺が b 高さが a の直角三角形4つで構成されています。
外側の大きい正方形(黄色)の面積は1辺が a + bの正方形なので面積は( a + b )2 です。これは1辺が c の正方形(水色)と底辺が b 高さが a の直角三角形 4つ(青色)の和です。式で表すと、以下のようになります。
( a+ b )2 = c2 + 4 × 1/2 ×ab
a2 + 2ab + b2 = c2 + 2ab
a2 + b2 = c2
よって、ピタゴラスの定理が証明されました。
古代ギリシアのユークリッドの著書『原論』にあるピタゴラスの定理の証明はとても美しいことで有名です。この証明の動画解説はこちらから▼
動画でわかる数学の定理「ピタゴラスの定理 美しい証明」
ピタゴラス数(ピタゴラスの3つ組)
「 a2 + b2 = c2 」を満たす3つの自然数 a, b, c をピタゴラス数(ピタゴラスの3つ組)といいます。(a, b, c) がピタゴラス数なら、(a, b, c) を3辺とする三角形は直角三角形となります。もっとも小さいピタゴラス数は (3, 4, 5) でこれを元祖ピタゴラスの3つ組と呼ぶ人もいます。
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ピタゴラスの定理の歴史
直角三角形の性質は古代エジプトの時代から使われていました。
エジプト文明はナイル川によって発展しました。ナイル川は、毎年決まった時期に洪水を起こし、上流から農作物の生育に必要な肥沃な土壌を運び、ゆっくりと水位を下げていきます。
ナイル川の水が引くと、あたり一面は泥の海で誰がどこを耕作地とするかが分からなくなってしまいます。しかし心配することはありません。土地は国家が管理していたのです。「縄師」と呼ばれる役人が、大規模な測量をし、国全体の耕作地を区画整理して、農民一人一人の持ち分を割り当てたのです。
土地を農地として切り分けるには“直角”が必要となります。長い一本のロープを、長さ 3, 4, 5 に分け、分け目に印をつけます。このロープで三角形を作り、印のところでピーンと張ると直角三角形ができます。
このように直角三角形の性質は土地の測量に用いられていました。古代エジプト人がピタゴラスの定理を知っていたという証拠は見つかっていません。しかし、(3, 4, 5) がピタゴラスの三つ組であること、つまり 32 + 42 = 52 となることは分かっていました。
名前の由来となったピタゴラスとは?
古代ギリシアの数学者、哲学者として知られているピタゴラス。ピタゴラスは、数には神秘的な力があると信じ、この世界は数によって支配されていると考えていました。ピタゴラスには様々な逸話が残されています。詳しく知りたい方はぜひ以下をご一読ください▼
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現代の私たちは、長さ、面積、体積、角度などを数で表しています。古代ギリシア人も私たちと同様だと思いがちですが、実はそうではありません。古代ギリシア人にとって数とは個数を表わす自然数だけだったのです。〔Web連載ピラミッドの謎:4-2.ピタゴラスの定理〕ではピタゴラスの定理を古代ギリシアの概念だけを使って考えます。
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