ユークリッドの互除法 とは
ユークリッドの互除法とは
日常の計算から暗号技術まで、幅広く使われている「最大公約数」の計算。
その効率的な求め方として知られるのが、ユークリッドの互除法です。
これは、古代ギリシアの数学者ユークリッドが著書『原論』の中で紹介した方法で、2つの自然数を互いに割り続けるだけという、驚くほどシンプルなアルゴリズムです。
この記事では、互除法の考え方と手順をわかりやすく解説し、なぜこの方法が今も使われ続けているのか、その魅力にも迫ります。
ユークリッドの互除法とは
ユークリッドの互除法とは、2つの自然数の最大公約数を求めるための古典的なアルゴリズムです。
古代ギリシアの数学者ユークリッドが著した『原論』の中で紹介され、現在でも広く使われている計算手法です。この方法の特徴は、2つの数を互いに割り続けるだけというシンプルな操作で、非常に効率的であることです。
次のような考え方に基づいています:
2つの自然数 a, b(a ≧ b)において、
a を b で割った余りを r としたとき、
a と b の最大公約数は、b と r の最大公約数に等しい。
実際の手順(繰り返しのプロセス)
このことを利用して割り算を繰り返し、2つの自然数の最大公約数を求めます。操作を繰り返して最後に割り切れた時の「割る数」が求める最大公約数となります。
1. a を b で割り,余り r を求める
2. b を r で割り、余り r1 を求める
3. r を r1 で割り、余り r2 を求める …
4.この操作を、余りが 0 になるまで繰り返す
5.最後に割り切れたときの「割る数」が、a と b の最大公約数
最大公約数を求めてみよう(具体例)
それでは、実際にユークリッドの互除法を使って最大公約数を求めてみましょう。
例として、252 と 105 の最大公約数を求めてみます。
252 ÷ 105 = 2 余り 42
105 ÷ 42 = 2 余り 21
42 ÷ 21 = 2 余り 0
余りが 0 になった時点で、その時の割る数(21) が最大公約数です。
したがって、252 と 105 の最大公約数は 21 です。
このように、ユークリッドの互除法は非常にシンプルで効率的な計算方法です。
特に桁数の多い数どうしでも容易に計算できるため、コンピュータサイエンスや暗号理論などの分野でも広く利用されています。
由来となったユークリッドとはどんな人物?
数学の礎を築いた「幾何学の父」
ユークリッドは、古代ギリシアの数学者であり、紀元前3世紀ごろ、エジプトのアレクサンドリアで活躍したと伝えられています。彼はあらゆる数学の基礎となる名著、『原論』を著したことで知られ、「幾何学の父」とも称されています。
『原論』は、当時知られていた幾何学や数論の知識を、定義・公理・命題・証明という論理的な順序で体系化した画期的な書物です。この構成方法は、2000年以上にわたり数学教育と論理思考のモデルとして受け継がれてきました。
ユークリッドの生涯については、詳細な記録はほとんど残っていませんが、その影響力は計り知れず、彼の手法や考え方は、現代の数学・科学・哲学の基盤となっています。
現在の数学の礎となった『原論』の著者であるユークリッドはどのような人物だったのでしょうか?
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まとめ
ユークリッドの互除法は、シンプルでありながら非常に効率的な最大公約数の求め方として、古代から現代に至るまで広く使われているアルゴリズムです。
この手法を記したユークリッドは、数学の基礎を築いた偉大な学者であり、彼の著書『原論』は論理的な思考と証明のモデルとして、2000年以上にわたって多くの人々に影響を与えてきました。
数学は難しいものではなく、本質を突くシンプルな考え方の積み重ねであることを、ユークリッドの互除法は私たちに教えてくれます。