「比の理論」を支える縁の下の力持ち
『原論』では、この相互差引から導かれる性質を土台にして、「数の比の理論」という体系が組み立てられています。
たとえば、2つの分数が等しいかどうかを判定するには、それぞれを約分して同じ既約分数になるかを調べればよいのですが、この「約分すれば一意的な形が得られる」という事実自体が、互除法の考え方から導かれます。
一見地味な「引き算(あるいは割り算)を繰り返すだけ」というこの手続きが、比や分数、さらには「aとbが互いに素で、aがbcを割り切るならaはcを割り切る」といった整数論の基本的な性質まで支える縁の下の力持ちになっています。この定理の奥深さは、そこにあります。
ポゥじい博士の見立ておもしろいのは、『原論』では「量の比の理論」が「数の比の理論」より前に現れることじゃ。じゃが、理論ができ上がった順に書かれているとは限らんのじゃよ。
わしは、「数の比の理論」が先にあって、「量の比の理論」はその後に創られたと考えるのが自然じゃと思っておる。比を簡略化して既約な比を求める、つまり約分にあたる考え方のほうが先にできて、そこから理論が整えられていったのではないかのう。
由来となったユークリッドとはどんな人物か
ユークリッドユークリッド「ユークリッド幾何学」でおなじみの幾何学の父詳しく見る →は、古代ギリシアの数学者で、紀元前3世紀ごろエジプトのアレクサンドリアで活躍したと伝えられています。
あらゆる数学の基礎となる名著『原論』を著したことで知られ、「幾何学の父」とも称されます。『原論』は、当時知られていた幾何学や数論の知識を、定義・公理・命題・証明という論理的な順序で体系化した画期的な書物で、この構成方法は2000年以上にわたり数学教育と論理思考のモデルとして受け継がれてきました。
互除法が求めているのは、まさにこの「最大公約数」です。
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ポゥじいではここから、いくつかの重要な用語を紹介しておこう。まず、aとbが共通してもつ約数のことを公約数という。そしてその中でも一番大きいものを最大公約数と呼ぶ。さらに、aとbの最大公約数が1であるとき、aとbは「互いに素」であると言うのじゃ。



