ヒエログリフ(聖刻文字) とは
ヒエログリフとは?
古代エジプトで使われていた文字で、聖刻文字、神聖文字とも呼ばれます。古代の人々は言葉には魔力があると信じており、古代エジプト人はヒエログリフを「神の言葉」と呼んでいました。
ヒエログリフは24個の文字が標準的なアルファベットとして使用されていました。24個のヒエログリフはそれぞれ一つの「音」を表しています。
古代エジプトで使われていた音と現代のアルファベットは全て一対一で対応するわけではありません。一番近い音と思われるものを対応させると以下のようになります(現代のアルファベットとの対応は解釈により異なる場合があります)。
1つの文字が「音」を表す文字を表音文字と言い、現在私たちが使っているひらがなやカタカナなどはこれにあたります。
一方、文字そのものに音だけでなく「意味」がある文字を表語文字と言い、漢字はこれにあたります。ヒエログリフの中には「音」だけを表す文字と、文字そのものが「意味」をもつ文字があったと考えられています。
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ヒエログリフで数字を表すと?
古代エジプトでは一、十、百、千、万、十万、百万、千万を次の文字で表しました。記号1つが1つの数を表します。
たとえば花1つが千、縄1つが100、取手1つが十、棒1本が1を表しますから、 3215 は花を3つ、縄を2つ、取手を1つ、棒を5本並べて次のように表します。
ヒエログリフは単に情報を伝えるだけではなく、装飾としても美術的に美しいものでした。また、エジプトだけでなく古代ではどこでもそうですが、文字とか数字には不思議な魔力があると信じられていました。
ヒエログリフは文字を知らない民衆でも簡単に覚えられます。棒と取手と縄の3つの文字を覚えるだけで1から999までの数を表すことができます。ヒエログリフは左から右に書いても、右から左に書いてもいいので、たとえば23 は∩∩||| と書いても |||∩∩ と書いても同じですが、数字3 ( ||| ) と 20 ( ∩∩ ) はまとめて書きます。
ヒエログリフは美術的には美しく壁画などには適していますが、実用には向いていません。数学書や経済文書などはヒエラティック(神官文字)が使われました。
数を文字によって表す表し方を記数法といいます。古代の記数法はどのように発展したのでしょうか。詳しい記事はこちら▼
『Web連載 バビロニアの数』 第2回 数の表し方
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ピラミッド解読の歴史
エジプトでは紀元前3000年ごろから紀元後394年までの間、ヒエログリフが使われていました。その後ヒエログリフは使われなくなり、読み方や書き方は長い間忘れ去られていました。
ヒエログリフ解読のきっかけとなったのは1799年にエジプトで発見されたロゼッタストーンと呼ばれる石碑です。ナポレオンのエジプト遠征の際に発見されたロゼッタストーンは、エジプト研究の専門家に送り届けられ、ヒエログリフの研究に大きな役割を果たしました。その後イギリスの物理学者トーマス・ヤング、フランスの言語学者ジャン・フランソワ・シャンポリオンらによって研究が続けられ、1822年にとうとう解読されました。
ヒエログリフの解読により、ピラミッド内部、お墓、神殿の壁画、パピルスなどに書かれたの多くの情報が得られるようになったのです。
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文字の発明
文字はどこで生まれ、どのように発達したのでしょうか。紀元前3200年頃のシュメールの遺跡から古拙文字と呼ばれる楔形文字が発掘されています。古代エジプトのヒエログリフはシュメールの影響があった可能性があります。詳しい記事はこちら▼
『Web連載 数の発明』 第11回 文字の発明
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