ジュゼッペ・ペアノ とは?
イタリアの数学者で、論理学と数学の基礎に関する研究に大きな貢献をしたことで知られています。特に「自然数」の定義を厳密に行うために「ペアノの公理」を提唱し、数学の基礎を構築するための重要な枠組みを提供しました。関連書籍▶︎チューリングの考えるキカイ
自然数とペアノの公理
自然数は、0(または1)から始まり、1ずつ増加していく数の無限の集合であり、数え上げや数学の基礎を構成する基本的な概念です。しかし、19世紀の終わり頃、数学者たちは、自然数とは何かを定義する厳密な方法を模索していました。そこで、ペアノは自然数の体系を論理的に確立するために、以下のような公理(ペアノの公理)を提唱しました。
ペアノの公理は、自然数の集合を厳密に定義するための5つの基本的な公理からなります。これにより、自然数の性質を論理的に導き出せるようになりました。ペアノの公理は次の通りです
1. ゼロは自然数である
ゼロを自然数の始まりとし、自然数の定義の基礎とします。
2.任意の自然数に対して、その後者(次の数)も自然数である
例えば、1の後に2があり、2の後に3があるといったように、任意の自然数に対して次の数が存在することを示します。
3.異なる自然数は異なる後者を持つ
1と2、2と3のように、異なる数は異なる次の数を持ちます。この公理により、数が一意であることが示されます。
4.ゼロは他の自然数の後者でない
ゼロは他のどの自然数の「次の数」でもないと定義され、ゼロが「最初の数」であることが保証されます。
5.ある性質をゼロが持ち、その性質を持つ数の後者もその性質を持つなら、その性質はすべての自然数に当てはまる
これは数学的帰納法と呼ばれるもので、ある性質がすべての自然数に適用されるかどうかを判断する方法です。
ペアノの公理は、自然数を形式的かつ論理的に定義し、数学の根底にある数の概念をより厳密に捉えられるようにしました。この公理体系により、自然数に関連する数多くの性質や法則が明確に説明され、数学的証明の基礎として機能することが可能となったのです。