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ポゥじいとめぐる「数」の旅

天才ニュートンの頭の中 1ニュートンが選んだ数学の言葉
~プリンキピアを紐解く~

難易度 ふつう 対話形式 名誉教授監修
Kindle Unlimited 読み放題 対象
2026年10月2日 発売予定
¥900 税込 / Kindle版

About this bookこの本について

科学史上もっとも重要と言われながら——「誰も読まない」という不思議な本があります。

ニュートンの『プリンキピア』です。人類の考え方を一変させた科学の原点でありながら、あまりに難解なため、実際に読み通した人は驚くほど少ないと言われています。その最大の謎は、書き方にあります。当時すでに広まりつつあった代数ではなく、ニュートンは2000年前の古代ギリシアの幾何学によって宇宙の法則を証明しました。なぜ、そんな回り道を選んだのでしょうか。

本書は、この謎を入り口に、ニュートンが「動き続ける世界」を数学で捉えようとした道のりを、対話形式でたどります。『プリンキピア』が「世界を変えた本」と呼ばれる理由が、きっと見えてくるでしょう。

読みどころのひとつは、終盤の「月のテスト」です。地上のリンゴと天空の月が、同じ計算式でぴたりと結ばれる——ニュートンといえば誰もが思い浮かべるあの逸話を、本書は最後まで計算で見せたあとで、「この正確な計算は、ニュートンの時代に完成された話ではない」という歴史の実像まで踏み込んで明かします。ニュートンの視線は、円軌道のさらに先に向いていました。楕円軌道でも成り立つことを証明できて、はじめて宇宙の法則と呼べる——本書の締めくくりは、その壮大な問いへの入り口でもあります。

全編、ポゥじい・スウカ・カズオの対話形式で進みます。図版を豊富に使い、証明を一歩ずつ会話で追いかける構成なので、数学から離れて久しい方でも読み進められます。本書から読み始めても分かるように書かれています。なお本書には、ガリレオが発見した「落下の法則」がたびたび登場します。ニュートンがガリレオの実験と結論をどう尊重し、自らの理論の中でどう扱ったのか——それを述べるための登場であり、本書だけで理解できるよう解説しています。現実の惑星が描く「楕円軌道」の証明は、続編『天才ニュートンの頭の中②』で扱います。

For youこんな方におすすめ

「万有引力の法則はどうやって生まれたのか」を、公式ではなくニュートン自身の思考からたどりたい方

リンゴのエピソードの先にある、ニュートンの本当の思考の道のりをたどります。

物理・数学は苦手でも、科学が生まれるドラマには引き込まれる方

ペストによる大学休校が生んだ「驚異の年」など、ニュートンの人柄や経歴にも触れており、人間ニュートンの物語として読める一面もあります。

「なぜ代数ではなく、古代ギリシアの幾何学で書いたのか?」という問いに惹かれる方

現代から見れば回り道のようですが、そこには「厳密な証明」というしっかりとした理由がありました。その選択の意味に一歩ずつ迫ります。

Contents目次

1 世界を変えた『プリンキピア』のなぞ

「誰も読まない」「原題に残る哲学」「幾何学だけの書き方」——3つの謎を入り口に、「驚異の年」、ハレーが私財を投じた出版の経緯、「われ仮説を作らず」、錬金術や神学への傾倒まで、『プリンキピア』誕生の背景をたどります。

2 ニュートンが選んだ「数学の言葉」

運動の3法則と、その土台となる「定義」。物体の量が密度と体積の「比」で組み立てられていく様子を通して、ニュートンがなぜ幾何学という言葉を選んだのか、その必然に迫ります。

3 サルと鉄砲と宇宙の法則

『サルと鉄砲』のお話から、力を合成する「平行四辺形の法則」へ。さらに曲線の面積を「限りなく細かい階段」ではさみ撃ちにする補助定理まで——のちに微積分へとつながっていく考え方を、図とともに追いかけます。

4 向心力の正体を解き明かす

円軌道を舞台に、惑星を中心へ引きつづける「向心力」の正体を解き明かします。そしてケプラーの第3法則とフックの逆平方則が、数学的にぴたりと繋がることを確かめます。

5 惑星はなぜ飛び去らないのか〜「月のテスト」

月は1秒でどれだけ進み、どれだけ「落ちる」のか。実際の月の動きと、地上の重力から計算した値——2つの数値が一致する瞬間を、自分の手を動かしながら追体験します。

6 まとめ

感動的な「月のテスト」に、歴史の実像という補足を添えて。そしてニュートンの視線の先にあった「楕円」という最大の謎へ——続編②への橋渡しです。

Preview試し読み

本書は終始、ポゥじいたちの会話で進みます。冒頭の一場面をのぞいてみましょう。

SAMPLE | 本文より
スウカ
(夜空を見上げて)わあ、今日は月も星もすごくきれい! ねぇ博士、昔の人たちも私たちと同じように、こうやって夜空を見上げていたんでしょうか?
ポゥじい
いかにも。人は太古の昔から、ゆっくり動く月や瞬く星々を見上げては、あの光の向こうにいったいどんな仕組みがあるのかと、ずっと想像をめぐらせてきたのじゃよ。……もっとも、彼らが見ていた夜空は、こんなものではなかったがのう。街の明かりも、手元を照らす画面もない。日が沈めば、あたりは本当に真っ暗じゃ。そのぶん頭の上には、数えきれんほどの星が広がっておった。
スウカ
わあ……。それを毎晩、ずっと見ていたんですね。
ポゥじい
そうじゃ。毎晩見上げておると、あることに気づく。星は少しずつ位置を変えていく。月はふくらんでは欠け、また元に戻る。同じことが、何度も何度もくり返されるんじゃ。
カズオ
気づいたところで……昔の人には、どうしようもなかったんじゃないですか?
ポゥじい
それが逆でな。くり返すということは、次にどうなるかが読めるということじゃ。人はそこから暦を作った。いつ種をまくか、いつ収穫するか、海の上で自分がどこにいるか──それを空に教えてもらっておったのじゃよ。空を読むことは、暮らしそのものじゃった。
カズオ
僕らは学校で当たり前に「地球が太陽の周りを回ってる」って習いますけど、そんなの見た目じゃ絶対に分からないですよね。昔の人は、宇宙がどんな風になってると考えていたんだろう?
ポゥじい
よい所に気がついたな。試しに、そこに立ったまま足元を感じてみるがよい。地面が動いておる気配はあるかな?
スウカ
……ぜんぜん。びくともしていません。
ポゥじい
じゃろう。立って見上げるかぎり、動いているのは空のほうにしか見えん。地面はどこまでも静かなままじゃ。だから昔の人が、今とはまったく違う「宇宙の姿」を思い描いたのは、無理もないことなんじゃよ。しかもな、もっと厄介な問題がある。空がどう動くかは、根気よく見ていればいずれ分かる。じゃが、なぜそう動くのかは、いくら見上げても答えが出てこん。この問いだけは、何千年ものあいだ宙に浮いたままじゃった。
ポゥじい
それが17世紀、ある一人の男の登場によって、根底から大きく書き換えられることになる。その中心にいたのがアイザック・ニュートンという男じゃ。彼は、物理学と数学の歴史において史上最も重要な人物じゃ。そのニュートンが、すべてを注ぎ込んで書いた伝説的に難解な本が『プリンキピア』じゃ。せっかくだから今日はその『プリンキピア』に秘められた謎のお話をしようか。
カズオ
ニュートンと言えば「落ちるリンゴ」の話が有名ですけど……その『プリンキピア』って本は初めて聞きました。なんだか呪文みたいな響きで、すごく難しそうな本ですね。
ポゥじい
その通り。実はこの『プリンキピア』という本、科学史上もっとも重要と言われながら、世にも不思議な「3つの謎」を抱えた書物なんじゃよ。
スウカ
えっ、3つの謎ですか…?
ポゥじい
うむ。まず、第一の謎は、「誰も読まないこと」じゃ。人類の考え方を一変させた科学の原点ともいえる著作にも関わらず、中身があまりに難解すぎて、実際に読もうとする者が驚くほど少ないのじゃよ……

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Author著者・監修

Mathematica 編集部

企画・執筆 / 数学的内容は名誉教授が監修

数学史・科学の物語を届けるオンラインマガジン「Mathematica」が制作。専門家の監修のもと、正確さとわかりやすさの両立を大切にしています。本シリーズは、はじめての方でも物語として読み進められることを目指しています。

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