第2巻/P.3あたりに記載

太陽に近いと速く、遠いと遅い。
なのに、同じ時間に掃く面積はいつも同じ。

惑星は、いつも同じ速さで回っているわけではありません。 太陽に近いところでは速く駆け抜け、遠いところではゆっくりと進みます。

太陽に近いと速く、遠いと遅い。なのに、同じ時間に掃く面積はいつも同じ。

速さがばらばらなのですから、動きにきまりなど無さそうに思えます。 ところが、ある測り方をすると、そこにぴたりと一定のものが現れます。

太陽と惑星を、1本の線で結びます。惑星が動けば、その線も動きます。 線が通ったあとには、扇のような形が残ります。 固定された短い時間ごとに区切って比べると、この扇の面積は軌道のどこでも同じになるのです。

カズオ
速さが違うのに、面積は同じ……? 近いところでは速いんだから、たくさん掃きそうな気がしますけど。
ポゥじい
ふふ、そこがうまくできておるのじゃ。 近いところでは線が短いかわりに大きく振れ、遠いところでは線が長いかわりに少ししか振れん。 その差し引きが、ぴたりと釣り合うんじゃよ。

面積をくらべてみる

太陽に近い側 S₁ = 遠い側 S₂
×1.0
6%

「位置」を動かすと、扇の形が変わります。形はまるで違うのに、面積は変わりません。

スウカ
片方は細長くて、もう片方はずんぐりしています。 見た目がこんなに違うのに、同じ面積なんですね。

「面積が同じ」ではなく「時間に比例する」

この規則は、いまでは面積速度一定の法則と呼ばれています。 ケプラーの3つの法則のうち、2番目にあたるものです。

「面積速度一定」は、この関係を現代的にまとめた言い方です。 ケプラーは、掃いた面積を経過した時間に対応させて考えました。 ニュートンも『プリンキピア』で、この関係を面積と時間の比として表しています。

ニュートンの言い方に近づけると 掃いた面積は、かかった時間に比例する

2倍の時間をかければ2倍の面積を掃き、3倍の時間なら3倍の面積になる。 同じ時間なら同じ面積、というのは、その特別な場合ということになります。

ケプラーは見つけた。けれど、証明はしていません この規則は、ケプラーが膨大な観測データを分析して掘り当てたものです。 空の記録の中から、そこに潜む数のきまりを取り出した仕事でした。 ただしケプラーは、なぜそうなるのかという理由までは示していません。 ニュートンはこれを動かぬ事実として受け取ったうえで、 「ならば、どんな力が働いていればこうなるのか」という向きから問い直しました。

なぜ、そうなるのか

ここまでで分かったのは「そうなっている」ことだけです。理由はまだ何も分かっていません。

面白いのは、ニュートンがこれを証明したとき、軌道の形を決めていなかったことです。 楕円だとも、円だとも、放物線だとも仮定していません。 条件はただひとつ、ある1点に向かって引かれ続けていること。それだけです。

ポゥじい
形を決めずに証明できてしまう。ここがニュートンのやり方の見事なところじゃ。 使った道具は、前の巻で身につけたものばかりでな。 まっすぐ進もうとする動きと、引かれて落ちる動き。この2つを合わせるだけじゃ。

その先は、図形をひとつずつ動かしていく話になります。 どんな図を、どの順に重ねていけば、この不思議な等しさが姿を現すのか。 書籍では、その手順をひとつずつ追いかけていきます。

この記事でたどったこと

惑星は、太陽に近いところでは速く、遠いところではゆっくり動きます。 距離も速さも変わり続けるのに、同じ時間に掃く扇の面積だけは、軌道のどこでも同じ。 形の違う2つの扇が同じ面積になるところを、実際に測って確かめました。 近くでは短い線が大きく振れ、遠くでは長い線が少ししか振れない。その釣り合いです。

そして、ここからが問いの向きの変わるところでした。 ケプラーが見つけたのは「そうなっている」という事実で、理由は示されていません。 ニュートンはそれを動かぬ事実として受け取り、 どんな力が働いていればこうなるのかと問い直しました。 しかもその証明では、軌道の形を決めていません。 条件は「ある1点に向かって引かれ続けている」ことだけ。 円でも楕円でも成り立つ、という形で示されています。

ここで扱ったのは、ニュートンが『プリンキピア』で組み立てた道すじの一場面です。 彼が何に悩み、どこで間違え、どうやって答えにたどり着いたのか。 その道のりは電子書籍『天才ニュートンの頭の中2』で詳しく書いています。

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