フィボナッチ数列とは
この用語の要点
- 前の2つの数を足すと次の数になる数列。1, 1, 2, 3, 5, 8, 13, 21, 34, …
- 決めるのに要るのは、はじめの2つと「足す」という規則だけ
- 隣り合う数の比は、右に進むほど黄金比 φ = 1.618… に近づく
フィボナッチ数列とは、2つ前の項と1つ前の項の和をとって次の項を得る数列で、
1, 1, 2, 3, 5, 8, 13, 21, 34, …
と続きます。1と1を足すと2、1と2を足すと3、2と3を足すと5、3と5を足すと8、というように、直前の2つを足しながら伸びていきます。
決め方は「はじめの2つ」と「足し算」だけ
この数列を作るのに必要なのは、はじめの2つの数と、直前の2つを足すという規則だけです。
1つ前 + 2つ前 = 次の数
はじめの2つを 1, 1 と決めれば 1, 1, 2, 3, 5, 8… となり、1, 2 から始めれば 1, 2, 3, 5, 8… となります。2番目から先はどちらも同じ並びです。本や資料によって書き出しが違うのはこのためで、数列そのものが違うわけではありません。
このように「前の結果を使って次を決める」形の規則を漸化式といいます。記号で書くと、こうなります。

n番目の数を a と書き、番号を右下に小さく添えています。はじめの2つが 1 と決まっていること、そこから先は「ひとつ前とふたつ前を足す」ことだけが書いてあります。ことばで言っていたことを、そのまま記号に置きかえただけです。
ウサギの問題と、フィボナッチの名前
この数列がフィボナッチの名前で呼ばれるのは、イタリアのフィボナッチフィボナッチフィボナッチ数列で有名 アラビア数学を広めた数学者詳しく見る →(ピサのレオナルド)が1202年に著した『算盤の書』に、次の問題が載っているからです。
「1つがいのウサギがいる。ウサギのつがいは毎月1つがいの子を産み、生まれた子のつがいも、生まれて2か月目から子を産むようになる。ウサギが死なないとすると、1年でつがいはいくつになるか」
月ごとに数えると、つがいの数は 1, 2, 3, 5, 8, 13, 21, … と増えていきます。今月いるつがいは、先月いたつがい(死なないので全部残ります)と、今月生まれたつがいを合わせた数です。そして今月子を産めるのは、先々月にはもういたつがいだけです。だから、先月の数と先々月の数を足すと今月の数になります。
『算盤の書』では、はじめの1つがいがすぐに子を産めるものとして数え、1年後の答えを377つがいとしています。はじめを「生まれたばかりの1つがい」にすると、1, 1, 2, 3, 5, … と1が2つ並ぶところから始まります。本によって書き出しが違うのは、このためでもあります。
ただし『算盤の書』では、この数列は面白いお話のひとつとして出てくるだけで、数の並びの性質については何も論じていません。
フィボナッチの人物ページへ
黄金比との関係
フィボナッチ数列の隣り合った数の比(2:3, 3:5, 5:8, …)は、右に進むほど黄金比黄金比線分を「短い部分:長い部分=長い部分:全体」となるように分けたときの比。詳しく見る →の近似値に近づいていきます。
実際に割ってみると、こうなります。
1 ÷ 1 = 1
2 ÷ 1 = 2
3 ÷ 2 = 1.5
5 ÷ 3 = 1.666…
8 ÷ 5 = 1.6
13 ÷ 8 = 1.625
21 ÷ 13 = 1.615…
34 ÷ 21 = 1.619…
大きくなったり小さくなったりを繰り返しながら、黄金比 φ = 1.618… にじりじりと寄っていきます。
なぜ黄金比なのでしょうか。隣り合う数の比が、ある値 x に落ち着いたとします。すると、ある数の次は x 倍、その次は x² 倍です。「前の2つを足すと次の数」なので、
x² = x + 1
が成り立ちます。これは、黄金比を求めるときに出てくる式とまったく同じです。この式の正の解が φ = 1.618… なので、比はこの値に近づいていきます。
自然の中に現れるフィボナッチ数列
フィボナッチ数は、思いがけないところで顔を出します。ひまわりの種が描く渦、松ぼっくりのかさの並び、パイナップルの表面のうろこ、花びらの枚数。どれも数えてみると、この数列に出てくる数になっていることがよくあります。
なかでも数えやすく、なぜそうなるのかまで説明がついているのがひまわりです。
ひまわりの中心をよく見ると、種が右巻きと左巻きの渦を描いて並んでいます。この渦の本数を数えると、34と55、55と89のように、隣り合うフィボナッチ数になることがよくあります。
なぜ、この数が出てくるのでしょうか。
鍵になるのは、種が置かれる角度です。新しい種は、先にできた種と重ならないように、少しずつ角度をずらしながら作られていきます。多くの植物では、このずれが約137.5度に近くなります。黄金角と呼ばれる角度です。
黄金角は、黄金比と表裏の関係にあります。フィボナッチ数列の隣り合う数の比は黄金比に近づいていくので、黄金角に近い角度で種を並べ続けると、目に見える渦の本数として隣り合うフィボナッチ数が現れやすくなるのです。
ひまわりが「直前の2つを足して」種を作っているわけではありません。1つずつ置いていく決まりと、円盤という場の形から、結果としてこの数が浮かび上がってきます。
上の図で種を300個まで増やすと、渦は21本と34本になります。種が増えるほど、数えられる渦の本数も大きなフィボナッチ数になっていきます。
松ぼっくりのかさやパイナップルの表面に見える渦も、同じしくみで説明がつきます。
ただし、必ずそうなるわけではありません。657本のひまわりを数えた研究では、フィボナッチ数にならないものも報告されています。「必ず現れる法則」ではなく「現れやすい規則性」と考えるのが正確です。
種を1つ置くたびに黄金角だけ回す。たったこれだけの単純な繰り返しから、これほど整った渦の並びが立ち現れてくるところに、この数列のおもしろさがあります。