振り子って、大きく振った方が、往復する時間も長くなりそうだよね?たくさん動くんだから、時間もかかりそうに感じる…。でも、実際はどうなのかな?ページ目次
Q. 振り子は大きく振ると時間も長くなるの?
振り子の動きを想像してみてください。大きく振ると往復する時間も長くなるのでしょうか?
A. 実は、小さく振っても大きく振っても、往復する時間はほとんど変わりません
振り子の動きには、少し不思議な性質があります。それが「等時性(とうじせい)」と呼ばれるものです。
・振り子の往復する時間(周期)は、「振り子の長さ」で決まる
・振れ幅(どれくらい大きく振るか)には、ほとんど影響されない

つまり振り子は、「どんな振り方でもほぼ同じ時間で往復する」という性質を持っているのです。※大きく振った場合には、わずかにズレが生じます。
えっ、なんだか直感と違う…!大きく動いた方が時間かかりそうなのに、同じってどういうこと!?「振り子の等時性」は誰が発見したの?
この不思議な性質に気づいた人物は、ガリレオ・ガリレイです。発見のきっかけとなった出来事として、次のようなお話があります。
ガリレオは若い頃、教会で吊るされたランプの揺れを何気なく眺めていました。すると――大きく揺れているときも、小さくなってきたときも、往復する時間が変わっていないように見えたのです。当時は時計がなかったため、ガリレオは自分の脈拍を使って時間を数え、その規則性を確かめました。
この話は後の伝記作家によってまとめられたもので、実際にその場面があったかどうかははっきりしていません。このエピソードが伝えようとしているのは、「身の回りの現象をよく観察し、そこに隠れた規則性を見つける」という姿勢ではないでしょうか。ガリレオの発見したこの性質は、「振り子時計」の発明につながる重要なきっかけとなりました。オランダの科学者ホイヘンスが、振り子の等時性についてさらに研究を進め、振り子時計を作り上げたのです。
偶然見ていた揺れから、時間の法則を見つけたっていう話、ドラマティックですね!でもそれって、”ちゃんと観察する力”があったから気づけたんですよね。ガリレオが変えた「時間」の考え方
ガリレオの本当のすごさは、「振り子の性質を見つけたこと」だけではありません。ガリレオは、この振り子の観察を運動の研究に応用します。
斜面を転がる球の動きを観察し、どれだけの時間で、どれだけの距離を進むのかを測定しました。
ガリレオは実験結果から「落下の距離は時間の2乗に比例する」という法則に気づきます。そして長い数学的思考のすえ、落下の理論にたどりついたのです。この時はじめて、距離・時間・速度といったものが、”物理量”として測れる対象となったのです。この流れこそが、自然現象を数学で記述するという近代科学の出発点でした。
振り子が教えてくれたのは、単なる揺れの性質ではない。”時間を測る”という、新しい世界の見方なのじゃ。時間が一定の長さを持つと考えられたとき、自然ははじめて数の言葉で語られるようになったのじゃよ。もっと深く知りたい方へ
振り子の「等時性」は、一見すると身近な不思議な現象にすぎません。しかしガリレオにとって、それは「時間」を正確に測るための大きな手がかりでした。時間とはそもそも何か、運動を「数」で表すとはどういうことか――電子書籍『ガリレオの挑戦1 速度の謎に挑んだ30年の軌跡』で、ガリレオが運動を数学に変えていく物語をぜひ体験してみてください。
\電子書籍も発売中です/
