本に「足の速い英雄アキレスは、絶対にカメに追いつけない」なんて不思議なことが書いてあったんだ。パラドックスの話らしいんだけど……一生追いつけないなんておかしくない!?ページ目次
Q. アキレスとカメの話:なぜ永遠に追いつけないの?
「走ればいつかは追い越せる」という当たり前のことが、数学的に考えると「不可能」に見えてしまう。こんなお話を知っていますか?足の速いアキレス、遅いカメ、でもカメは少し前からスタートする……さて、アキレスは追いつけるのでしょうか?
A. 無限の追いかけっこが繰り返されるから、永遠に追いつけない!?
【ルール】カメは少しだけ前からスタートします。アキレスは後ろから追いかけます。
1. アキレスがカメのいた地点に着く
2. その間にカメは少し前に進む
3. その地点にアキレスが着く
4. その間にまたカメが少し進む
これが永遠に続く。

このように、アキレスがカメのいた場所にたどり着くたび、カメは必ず「少しだけ先」にいることになります。この追いかけっこは無限に繰り返され、「アキレスは永遠にカメに追いつけない」という結論になってしまうのです。これは「ゼノンの逆説(パラドックス)」として知られています。
うわぁ…。この理屈でいくと、たしかにカメはいつも「ちょっと先」にいることになっちゃう気がする!頭では「そんなはずない」って思ってるのに、説明を聞くと反論できないよ。古代ギリシアの「ゼノンの逆説」とは?
今から2000年以上前、古代ギリシアの哲学者ゼノンは次のような疑問を投げかけました。
「無限にやることがあるなら、永遠に終わらないのでは?」これが「ゼノンの逆説(パラドックス)」です。
「逆説(パラドックス)」とは、「明らかに間違っているが、どうしてもその間違いが指摘できない説」のことです。ゼノンは、「決して終わらない無限に続く操作」は妥当なのか?無限の繰り返しを認めると間違った結果になってしまうのでは?と主張したのです。
ゼノンの逆説は、長きにわたり哲学者や自然科学者たちによって議論されてきました。
無限にやることがあるなら終わらない……たしかにそう思えるのに、でも実際はちゃんとゴールできる………考え始めると、頭がぐるぐるしてきます!飛んでいる矢は止まっている?
ゼノンは他にもいくつか有名な逆説を残しています。
【二分法の逆説】ある物が目的地に向かって動くとき、まずその半分の地点に行かなければならない。しかし、その半分に着く前に、さらにその半分の地点に達しなければならない。このように、進むたびに必ず「半分」が現れ、それが無限に続くとしたら、目的地に到着することはできないのではないか。だから運動は不可能なのでは?
【飛ぶ矢の逆説】飛んでいる矢を、時間の一瞬で切り取るとどうなるか?その瞬間、矢は「ある場所に静止している」。もしすべての瞬間で静止しているなら――矢は動いていないのでは?
こうした問題を突きつめていくと、次のような問いに行きつきます。「時間は本当に”瞬間”の連続なのか?」もし”瞬間”が時間ゼロだとすれば、いくらそれを積み重ねても合計はやっぱりゼロになるはずです。しかし時間は、確かに流れています。
わしらから見れば「追い越せるに決まっている!」と思うが、当時は数学的に「無限」をどう扱うかというルールがなかった時代じゃ。このゼノンの問いかけが、のちに「極限」や「実数」という深い数学の世界を切り拓くきっかけになったんじゃよ。もっと深く知りたい方へ
「アキレスはカメに追いつけない」というお話を、あなたはどう感じましたか?直感では「絶対に追いつくはず!」と分かっていても、いざ論理的に説明されると、まるで出口のない迷路に迷い込んだような、不思議な感覚になりますよね。この無限の追いかけっこに決着をつけるには、数学の発展を待たなければなりませんでした。数と無限をめぐる驚きの旅の続きを、電子書籍『実数とは何か? 有限と無限をつなぐ数の世界』でポゥじいと一緒に体験してみませんか?
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